Page updated 2019-09-01
** 夢中になって表現する造形活動 **
愛知 名古屋大宝小学校 河口貴子
「つくるって楽しい」「もっとかきたい」「次はこんな風にしたい」と言いながら,自分の思いを形や色にしていく子どもたち。造形活動の中では,目を輝かせながら「夢中になって表現する子どもの姿」に出会うことができます。自分でやってみたいことを見付け出して試し,自分の思いを表現するために,想像力やこれまで習得してきた技能など,あらゆる力を総動員させて,つくり,つくりかえ,つくり続ける姿です。
夢中になって表現する子どものまなざしで,実践を振り返り,「夢中」を引き出す題材化のポイントや,授業化のポイントを具体的に考えていきたいと思います。
** 児童の「感性」で「完成」する「感動体験」のある題材構成を目指して **
北海道 釧路附属釧路小学校 若林朗子
本提言では、他教科との関連を図った意図的な題材配列と図画工作科を通した児童の横断的な学びをテーマとしています。実践事例では第6学年の「ものくろあーと」(水墨画)を扱います。描画材を墨に限定し,水を使った濃淡の表現や,筆を使った技法,書写で経験している「筆使い」によってできる形からイメージし、それを生かしながら表現していく児童の姿を目指しました。題材との出合いが「感動体験」となり、主体的に表現しようとする「子どものまなざし」について、皆さんとともに考えたいと思います。
** 見て感じる楽しさを自分らしさづくりの原動力に **
沖縄 糸満市立潮平小学校 宮里雅代
子どもたちは、おもしろいと思うものを見つけることが得意です。対象となるもののよさやおもしろさを味わう体験は、自分の考え方、感じ方を自覚し、自然に表現の意欲を高めていくものと考えます。
今回の提言では、沖縄の陶芸文化の一つである「シーサー」(伝説の獣の像)に目を向けさせ、じっくり見ることによって生まれる気づき、一人一人の感じ方の違いを楽しむ実践をもとに、自分らしく表現する活動の原動力となる鑑賞のあり方について皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。
** 日常をつくり出す子どもたち **
愛媛 高浜小学校 木村早苗
子どもたちは自分を取り巻く形や色の世界に、豊かにかかわり合いながら表現活動を繰り広げています。そこには子どもたちの夢や願いが満ちあふれています。同時に、それらの活動は日常生活の中での子どもたち一人ひとりの様々な出来事や体験と深く結びついていることに気付かざるを得ません。
子どもたちが様々な出来事の中で感じ、心揺さぶられたこと、そんな出来事の数々を形や色に表現しながら、自らの過去さえもつくりかえ、新たな物語を紡ぎだしていく子どもの姿を紹介したいと思っています。
** カプラを楽しむ子どもたち **
学校法人 聖徳学園なかのしま幼稚園 西岡 由花子
カプラとは、厚み:幅:長さ=1:3:15で作られた木の板です。しかしその板から色々なあそびへと変化していきます。
子どもたちはカプラの音や感触を楽しんだり、並べたり積み上げたり、壊れて行く様子や音を感じながら様々な工夫をし、形を作り出していきます。
そして遊びを進めていく中で小さなものから大きなものへ、形のない並べから工夫された形へ、一人から多数へと変化しながらカプラに向かう子どもたちの笑顔が見られます。
** 水平面と垂直面で身体性を考えてみる **
大阪成蹊短期大学 塩見 知利
子どもたちの遊びは視覚を中心に、垂直面に接する機会が増えて
います。テレビやゲームの垂直面上で動き回るキャラクターは、彼らの日常の大半を占めるようになりました。結果描画に見られる基底線は3歳児から登場するようになり、枠で切り取られた人物像も子どもたちの描画では普通に見られるようになっています。反面大きな紙の上をローラーで転がす遊びなどに、参加する子どもたちには戸惑いを見ることができます。客観視できる垂直画面と身体性を伴った水平画面の両方の体験が成長には必要だと考えています。
** 感性と知性が出会うとき~屏風絵づくり **
北海道 函館中の沢小学校 赤坂巌男
屏風は,いつでもどこにでも折り立てることができ,そこには独特の奥深さのある新しい空間が生み出されます。装飾が施されることで,多様な空間をも演出します。このような特徴を持つ屏風は,児童の目に新鮮で魅力的なものとして映るはずです。そのことにより,児童の興味や関心が高まり,意欲が喚起されると考えました。
今回,「つながり」に重点を置いた屏風絵の共同制作の実践をもとに提言させていただきます。児童の感性や知性を刺激していく場のあり方ついて,皆さんからご教示していただけると幸いです。
** 研究会で行われた授業の再構築 **
北海道 三川小学校 佐藤 祈
全国造形教育研究大会がここ北海道で開催されるにあたり、昨年、札幌円山小学校でプレ大会が行われた。今研究会のために特設された授業は、吹き抜けのホールにおいて、長いが用紙にローラーを用いて児童が心の旅を線と色彩で表現する素敵な授業でした。
研究会のために札幌の全造造形教育研究連盟の研修担当者等が指導案検討を行い、授業を行う先生とともに作り上げてきた授業であるが、この研究会での全体協議で出された反省点をふまえ、再構築し、違う学校の児童で授業を行うとどのようになるのか。
札幌で行われた研究授業を、今一度同じ北海道、空知の小さな学校で取り組んだ様子を共同研究として提言として取り上げてみたい。
** 子どもたちの感じる心「おどろき」を題材構成の軸に! **
北海道 上風連小学校 外川篤司
「こうしなければいけない」と思うと、手が動かなくなる。「こうやってもいいんだ」という「おどろき」と安心感があれば、子どもたちの感性、発想を引き出せるのではないかと思います。
今回の提言では、「バナナ」のデッサンをいろいろな材料、用具を使って表現する活動と自然から「感じる」風をスズランテープで表現する可視化の活動から子どもたちの感じる心「おどろき」を軸に題材構成を考え、皆さんと共有していければと思います。
** 一人一人の自発的な造形活動のために **
東京 高島第五小学校 大畑祐之
子どもたちが色や形に関して、「こうしてみたい」「こうしてみたら」と発想したり、試行錯誤したりしていく事が大切で、自発的な造形活動の中で子どもたちは、自分らしさを見つめ、自分の力を最大限に発揮していると考えます。
今回は、透過性のあるプラスチック段ボールに絵の具を使って描くという題材を通して、色や形を友達と一緒に楽しむ子どもたちの姿から、子どもに寄り添う題材作りについて、皆さんと一緒に考えていければと思います。
** 出会った感動を大切にする鑑賞授業づくり **
大阪 夕陽丘中学校 堺谷朋美
名画とよばれる作品に出会い、見たり、描いたりする作業を通してより作品を深くみつめ、身近なものにしていく楽しさを味わえる。そんな時間を子どもたちと大切に共有していきたいと考えています。
今回、「絵巻物」をとりあげ、表現をはさむ鑑賞授業の実践から、より心動かす鑑賞授業の可能性について一緒に考えていけたらと思っています。
** 『魅せる』作品 **
~想いを引き出し、受け止める題材設定の工夫~
北海道 恵庭柏陽中学校 工藤由香
「魅せる」作品作り(人を魅了する作品)を目標に、ずっと授業をしてきています。いかに生徒の想いを引き出し、受け止め、作品にどのように反映していったらよいのか、コミュニケーションを取りながら、アドバイスするよう心がけています。しかし、課題が残ることが多いのも事実です。
今回の提言では、様々な題材と生徒の想いを紹介する中で、生徒のまなざしを共有しながら、皆さんと共によりよい題材内容について考えていきたいと思っています。どうぞよろしくお願いします。
** 一生手元に置いておきたくなる作品を **
東京都中野区立南中野中学校 内田善人
木の塊にのみで刃を入れて木槌で叩く。みるみる形が変わっていく。木材の中から頭像が表れてくる喜び。じっくりと素材と向き合い、道具を使いこなし、いつまでも手元に置いておきたくなる作品に時間をかけて仕上げる。作り上げる喜びをいつまでも、忘れない。
丸彫りでモアイを彫ることは生徒にとって楽しい経験となったようだ。作業前半は全員がベースとなる同じ形を作る。そこで素材を知り、技術を習得する。モアイという題材でどれだけ生徒が生き生きと制作ができるのか?
** 序列化しない評価 感性を生かす評価表現 **
京都 深草中学校 喜田健嗣
1,2,3,A、B、C という評価記号には段階的、序列的な
ニュアンスが含まれます。そうではない感性を生かした評価としてO、E、S、CK、などの記号を使った評価活動の取組をご紹介します。自画像は自尊感情を高める課題でもあり、人間教育の側面もあります。肯定的に観察し共感的に関わり合える場面の提案をします。また、顔に潜む美しさを見つけさせる私なりの指導を会場にお越しの先生方に体験していただこうと準備しています。より良い授業に向け、共に勉強できることを楽しみにしております。